培養室の特徴

当院では、安全対策と設備、環境を整えるとともに、
胚培養士が常に医師と綿密な連携を取り、
患者さまと受精卵(精子、卵子)と大切にしております。

すべての患者さまを対象としたタイムラプスモニタリング培養

タイムラプスモニタリングとは、内部にカメラと顕微鏡を搭載しているインキュベーター(培養器)です。胚を培養しながら、10~15分のペースで胚の様子をスナップし、その画像をパラパラ漫画のようにつなげることで、「連続した」胚の発育動態を観察することができます。

より安全な顕微授精を目指して紡錐体可視化による顕微授精
(Spindle view-ICSI)

紡錐体(spindle~スピンドル~)とは?

卵子の中にある染色体の分配や核の分裂に重要な役割を果たす細胞小器官です。重要な染色体情報もこの部分に存在しています。
この紡錐体は一般的な顕微鏡下では観察は難しく、特殊な顕微鏡でないと可視化することができません。通常は卵子の第1極体の直下付近に存在していますが、まれにその位置がズレている卵子もあります。

Spindle view-ICSIのメリット

1. 安全性の高いICSI
特殊な顕微鏡で紡錐体を可視化して顕微授精を行うことで、紡錐体を避けることができ、針で傷つけないように顕微授精を行っています。
2. 最適なタイミングで行うICSI
紡錐体が見えない場合は、卵子の核が成熟しきっていない段階です。この段階の卵子は、顕微授精を行う良いタイミングではありません。このような場合は、数時間後に再度紡錐体の状況を確認し、十分な成熟を待ってから顕微授精を行います。

高水準の培養室環境

1. 清浄度の高い空間
高性能のHEPAフィルターを設備し、手術室レベルの清浄度をもつ空間となっています。
2. セキュリティの高い空間
培養室の入り口にセキュリティを設け、培養室全体を「高セキュリティエリア」と位置づけています。培養室へは限られたスタッフしか入室できません。
3. LEDによる室内照明と顕微鏡照明
染色体は紫外線(UV)照射によって損傷されることが知られています。そのため、培養室内や顕微鏡の照明はLEDを採用しています。また胚を扱うときは、極力光の強さを抑えて作業しています。

安全管理対策

1. 取り違え防止対策
当院の培養室では、全ての作業においてダブルチェック、患者様とのトリプルチェックを実施し、取り違えやが万に一つも起こらないようマニュアルを厳守しています。また、一人の培養士が同時に他の患者様の検体を取り扱いすることを禁じています。
2. 非常用電源装置の設置
停電が起こった場合は、インキュベーター、顕微鏡、冷蔵庫などの培養室機器への電力供給が止まらないよう、主要機器を非常用電源につなげています。
3. アラーム監視システムの設置
万が一、インキュベーターに何らかの異常(温度/ガス濃度の不具合など)が起こった場合には、直ちに培養室責任者と院長へ知らせが届くシステムを導入しております。

培養士の思いと取り組み

1. 医師との患者情報共有
医師と胚培養士は、念密にディスカッションする時間を設けています。
どのような患者様か、どんな卵巣刺激をしたか、どのような媒精方法にするか、移植胚はどれが良いか、そして患者様一人一人がどのような結果になったかを、常に情報共有しています。
2. 新人の教育
当院での新人の教育は1対1で指導を行い、技術が身につくまで何度もトレーニングを重ねています。そして厳しい合格基準を設け、最終的に培養室責任者の合格が出るまでは一人で精子や卵子を取り扱うことはできません
3. 技術向上について
海外論文や関連学会への積極的な参加などから、最新の技術や話題、他施設の考え方を受信しています。医師と十分にディスカッションし、エビデンスの確立されたもの・当院で必要だと判断したものみを導入します。
4. 生殖補助医療に対する高い意識
胚培養士は技術だけが求められる職種では決してありません。生殖補助医療に携わる者は、高い責任感と倫理観をもつことが必須です。
「自分の目の前の受精卵はただの細胞ではなく、これから赤ちゃんになって、次世代、そしてそのまた次世代に繋がっていく存在になること」を常に意識しながら仕事をすることが重要です。
また、当院は小規模なクリニックであるので、他の大規模クリニックに比べて患者様の数が多くありません。そのため、当院の胚培養士は常に時間に余裕を持つことができ、業務に集中することができます。
高い意識を持ち続けることが、患者様への良い結果につながっていくと信じています。